不動産を貸しているときの税金
今回は、不動産を貸している時についての税金について見ていきたいと思います。不動産を貸している決して方は、多くはないと思いますが、住宅を購入したが仕事の都合により、住宅を離れなくならなく賃貸にする場合や相続により取得した場合など、自ら進んで取得したのではないケースもあるかと思います。
しかし、貸している以上は所得税や住民税がかかり一定規模以上は事業税がかかりますので、どのような税金の仕組みになっているかを見ていきたいと思います。いつも通りにわかりやすく解説されている本がありますので、見ていきましょう。
ある本では、個人が不動産を賃貸していると、不動産所得として、国税である所得税、地方税である住民税がかかります。また、一定規模以上の不動産を賃貸し、所得が一定額以上となると事業税がかかってきます。
不動産所得とは
所得税では、所得を原則として10種類に分けて計算しますが、不動産の貸付による所得は不動産所得として分類されます。
具体的には、地代、家賃、権利金、礼金、返還不要の敷金や保証金、更新料、名義書換料などが対象となります。（注）敷金や保証金でも、契約時に一部又は全部を返還しないように定めているときは、その返還不要の金額は、その契約の年の収入となりますので注意ください。
不動産所得の計算は
総収入金額－必要経費＝不動産所得の金額
総収入金額は、上記のような地代、家賃などの収入が対象となり、必要経費には固定資産税、保険料、建物等の減価償却、借入金の利子、修繕費などがあります。（注）事業的な規模（アパートなどは10室以上、一戸建てのものは５棟以上の貸付など）で不動産の貸付を行っている場合において、配偶者とか生計を一にしている親族がその貸付業務に専従しているときは、白色申告者にあっては、事業専従者控除額（配偶者の場合86万円、他の親族の場合50万円）、青色申告者にあっては、青色事業専従者給与（届出が必要）が、それぞれ必要経費として認められます。
なお、青色申告をしている人（青色申告者）には、青色申告特別控除があり、次の式のようになります。
総収入金額－必要経費ー青色申告特別控除＝不動産所得の金額
青色申告特別控除は正規の簿記の原則により記帳している場合は55万円又は65万円、その他の場合は10万円が認められています。
なお、住民税は、所得税の場合に準拠して所得計算が行われます。
今回はここまでと致します。確定申告期間は毎年2月16日～3月15日となっており、昨年と今年は新型コロナウイルスによる申告期間の延長がありますが、不動産を貸している時には、これらを計算して申告を行います。
次回は、個人の不動産所得に係る損益通算の特例などその他事業税などを見ていきたいと思います。（令和2年版 あなたの不動産 税金は（公益社団法人 全国宅地建物取引業協力連合会（発行・編集）／株式会社テクノート（制作協力）令和2年6月17日第1刷発行）
