コンテナ置場と借地契約
今回は土地を貸すうえでの賃貸借契約について考えて行きたいと思います。当社でもオーナー様から土地をお預かりして借地として募集させていただくこともあります。その際には貸主としてどのような点に注意をしなければならないか。分かりやすく解説された本がありますので、その本では、コンテナ置場として土地を貸す予定です。事業用の定期借地で契約すべきか、それとも駐車場や資材置場のような借地借家法適用外の契約形態をとるべきかです。その土地に保管のために置かれるコンテナであればコンテナは建物ではないので、借地借家法の借地権が設定できません(借地借家法1条)。事業用の定期借地も建物を建てるための借地権なので、建物所有目的でないと設定することはできません。コンテナという動産を保管するための土地の利用契約は民法上の土地の賃貸借契約になります。
建物とは、「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。」とされています。(不動産登記規則111条)
コンテナは、箱の形になっており、全面(6面)が覆われているので、一見建物になるのではと考えされますが、これがa建物として認められるには、当該コンテナが土地に定着している必要があります。コンテナの下に基礎(布基礎やベタ基礎)を築き、基礎とコンテナを強固に固定したような場合には永続的に土地に定着したものとして建物としてみることができ、登記可能となります。
しかし、本件質問のように、移動を前提とするコンテナの保管場所であれば、建物にならないことは明白なので、借地借家法上の借地権にはなりません。
逆に、コンテナハウスと呼ばれるような建物の代わりに使う場合、当該コンテナが土地に定着している、言い換えると、上記のように、コンテナの下に基礎(布基やベタ基礎)を築き、基礎とコンテナを強固に固定しているといえるのであれば、建物として扱われるので土地賃貸借になり、借地借家法が適用されます(いわいる借地権が成立してしまいます)。借地権が成立すると、借地人は借地権割合に相当する価値(例えば更地価格の6割)を取得し、地主はその分だけ価値を失うことになるので(地主の底地権は更地価格の4割)、借地借家法上の借地権を借主に与えるのであれば、地主は借地権割合に相当する金額を権利金として借地人から受け取らないと損を被ることになります。
さらに、コンテナハウスと呼ばれるような建物の代わりに使う場合でも、土地の上に、コンクリートブロックを置き、その上にコンテナを置いてコンテナハウスとして使用しているときには、基礎とみられるコンクリートブロックや土地にコンテナが強固に固定された(定着した)とはいえないので、建物にはなりません(いわゆる借地権にはなりません)。
もともと、地主も借主も借地借家法の借地権を設定するつもりはない(借主も借地借家法上の借地権を成立させるため借地権割合相当額の権利金も払うつもりはない)はずであるから、借地借家法が適用されないような、民法上の土地賃貸借契約書を作らなければなりません。
なお、建築基準法は、随時かつ任意に移動できないコンテナであれば、不動産登記法上の建物の要件を満たさなくとも、建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当し、建築確認が必要であるとしています。(国土交通省平成26年12月26日「コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底について」)と、このよになっております。土地を貸す際には必要となる事項の一つではないでしょうか。
桜森企画では大和市を中心に海老名市、座間市、綾瀬市などのお客様へ不動産に関わる有益な情報も随時提供しておりますので、お気軽にご相談ください。参考文献 発行:公益社団法人 神奈川県宅地建物取引業協会 相談調停委員会 執筆:顧問弁護士 立川正雄(立川・及川・野竹法律事務所)